2016年09月27日
切れ味重視?永切れ重視?
今までさんざん鋼材がどうとか堅苦しい内容を書いて来ましたけど、知らないと今後の内容が分かりにくくなるかな~(・ ・?と思って書いてました。
かなりめんどくさい内容やと思いつつ、知っててもらった方が後々理解しやすくなりますんで・・・m(_ _)m
以前包丁の切刃を砥石にペタッって付けて砥いで・・・って書きましたけど、あの砥ぎ方で付く刃は切れ味重視!キンキンの刃を付ける砥ぎ方になります。
その砥ぎ方を「ベタ砥ぎ、直刃」なんて言います。
ベタ砥ぎは切刃が鎬筋から刃先まで真っすぐで一番良く切れますが、良く切れる反面刃先が鋭くなり過ぎて切れなくなるのが早い、刃が欠けやすい、切刃が平らになるんで切った身が包丁にひっ付きやすい等有ります。
ベタ研ぎとは逆の(・ ・?永切れさせるための砥ぎ方に「ハマグリ刃」ってのが有って、切刃が緩いカーブになるんで身離れが良い包丁になります。
刃先の角度も少し鈍角方向に向きますんで、ベタ砥ぎに比べると究極の切れ味では劣りますが、その分刃先に厚みが出来て切れ味の持続性が増します。
切刃のカーブを強くすればするほど刃先が強くなりますけど、その分抵抗が増えて切れ味に影響が出て来ます。
ベタ砥ぎ、ハマグリ刃どちらでも刃先だけの強度を上げるために「糸引き刃」と言って、髪の毛位の細い段刃を付ける砥ぎ方が有ります。
ハマグリはちょっとコツが要るんで後程説明しようと思いますが、ベタ砥ぎに糸引きは比較的簡単に出来ますんで、覚えておくと包丁の切れ味が長続きしますし、刃こぼれした時に糸引き刃の所だけ欠ける事が多くなるんで後々の砥ぎが楽になると思います。
糸引き刃の付け方ですが、まずベタ研ぎで鎬筋から刃先までキッチリ砥ぎ上げた後に下の画像みたいに包丁を立てて軽く砥石を撫でる!これだけです(*^。^*)
ただ、角度が重要になります。
立て過ぎると一生懸命砥いだ刃を潰しかねませんし、寝かし過ぎると糸引き刃の意味が無くなるし・・・(^_^;)
画像の立て方は極端に立ってますんで調整して下さい。
だいたい十円玉3~4枚が平の所にギリギリ入る位でしょうか(・ ・?
切刃の角度の付き方で包丁を立てる角度が変わって来て絶対や有りませんので、ちょうど良い角度探して下さい。
ほんとは仕上げ砥でした方が刃先を砥ぎ過ぎないんで良いんですが、無かったら中砥でも大丈夫です!
中砥の場合はほんとにかる~く撫でるだけにしないと切れ味が落ちる段刃になります。
ベタ砥ぎでせっかくキンキンの刃にしたのに段刃にしたら切れ味落ちるんちゃうの(・ ・?って思うかもしれませんが、髪の毛1本位の段刃はさほど影響有りません。
ちなみに、鋼材の違いでも切れ味重視、永切れ重視かを選ぶ事が出来ます。
白鋼系の包丁は切れ味重視寄りの鋼材で、青鋼系は永切れ重視寄りの鋼材になります。
白鋼と青鋼で同じ刃付けをして切比べをすると、切り終わるまでの包丁の移動距離が白鋼は青鋼より短くなります。
良く切れるから短くなるんですが、顕微鏡レベルでの話しでなんですけど青鋼より荒い切り口になります。
青鋼は白鋼と逆の事が言えるかと思います。
白鋼の包丁をベタ研ぎでキンキンの刃に仕上げると一番良く切れる包丁になり、青鋼の包丁をハマグリ刃&糸引き刃で仕上げるとかなり永切れする包丁になります。
ただ、包丁全部にこれが当てはまるかと言うと作り手の技術の差でかなり違って来ますんで、同じメーカーのラインナップ上での比較目安になると思います。
前にも似た様な事を書いたと思いますが、実際メーカーが違うと同じ鋼材でも切れ味は全く違う物に仕上がてしまう事が多々有る様で、価格差になって現れる事になります。
包丁はお金を出せば出しただけ良く切れて、永切れする物になって行く・・・安かろう悪かろうが当てはまる道具の一つみたいです。
安価な物でもしっかり砥ぐと良く切れますが永切れはしません。
永切れしない分頻繁に砥いだり、研ぎ方を工夫したりする必要が出て来るんですが、砥ぐのが好きな方以外はやっぱりめんどくさいですよね~(^▽^;)
良く切れて砥がなくて良い包丁が有ると良いんですけど、今現在は存在しませんから・・・(^_^;)