2017年08月18日

包丁の硬さ。

以前鋼材の所で少し書きましたが、良い包丁は硬い物が多いです。

硬いと鋭い刃先に研ぎ上げる事が出来ますし、作り方次第で粘りも付けれますから永切れするし。


包丁にも色々な鋼材が使われてる訳なんですが、使われてる鋼材の硬さを数値で表すのにロックウェル硬さHRのC硬度)ってのが有ります。

これ、数字が大きくなるにつれて硬くなるんですが、数字が1~2変わるだけで感じる切れ味はかなり変わって来ます。

鋼材単体の硬さで、出来上がった包丁の硬さと=では有りません!
前から書いてますが、作り手の違いで変わって来ますし、表面の硬さを数値にした値で、砥いで行くにつれ少し柔らかくなって来るそうです。
また、数値表示も一定やない様ですのでここで書いた物が絶対に当てはまる訳でも無いみたいです。
だいたいこん位の硬さって目安程度に!


包丁はだいたいHRC50以上やと刃物として使える、HRC55~60が一般レベル、HRC61~64は硬い、HRC65以上は非常に硬いって感じで分けられるそうです。

解りやすく言えば、HRC50の包丁は何とか使えるけど直ぐに切れなくなる、砥いだら直ぐ刃が付く。

ご家庭で荒い使い方しなくても、2~3日前に砥いだのにもう切れん(-”-メ)ってのはこの硬さの包丁やないでしょうか(・ ・?

HRC55~60HRC50よりは良く切れて砥ぐのもそこまでしんどくない。

HRC61~64は良く切れる様になったけど、刃欠けに気を使う様になって、砥ぐのがしんどくなる。

HRC65以上はもっと良く切れるけど、ますますは欠けに気を使って、砥ぎで非常に苦労する。

って感じやと思って良いと思います。


このロックウェル硬さの数字に包丁に使われている各鋼材の種類を当てはめて行くと、

【SK鋼
HRC55~57位で、5千円以下の出刃、柳刃で、使用鋼材の説明で日本鋼って明記して有る物が多いそうです。

ホームセンターに有る和包丁が当てはまるんやないでしょうか(・ ・?

この鋼材は工具用の鋼材でノコギリやナタ、オノなんかに良く使われてるみたいです。

包丁みたいに切り裂くって言うより叩っ切るのに向いてる様な気がします・・・(^_^;)


【黄紙】
HRC58~60位で硬度、切れ味が良いそうすが、個人的にはSK鋼と大差無い様に思ってます。

SK鋼と黄紙どっちも出刃や柳刃と言った種類や使い方次第で違うと思うんですが、耐久性があんまり無く、直ぐに切れなくなる様な感じを受けるからなんですが・・・。

鯛を捌いてアラ焚き用に頭を割ると一発で刃が丸くなってお釈迦になると思います・・・(-_-;)

鯛の兜割1匹だけで後は砥いでも良いとか、ブリなんかの骨が柔らかい魚やともう少し耐えると思うんですが・・・。

高級ノコギリや安価な家庭用包丁に良く使われてるそうです。


ここから先が自分が家庭でも良い仕事するのに使えるかな(・ ・?って感じた硬さになって行くんですが、価格を見るとやっぱり万超えて来ます・・・(^▽^;)

しっかり作り込んだ物は鋼材のランクは低いのにランクの高い物と同価格や高かったりしますし・・・(^_^;)


銀紙3号
HRC59~61位で、切れ味、刃持ちがそこそこ良くて、砥ぎもさほどしんどく無く出来ると思います。

銀紙はステンレスですから錆び難さを考えるとなお良いでしょうね!

個人的には切れ味と耐久性はちょっと妥協って感じなんですが、錆びないのは肉、魚から野菜等々何でも切る時に役に立ちます!


白紙
HRC61~63位で3号~1号まで有りますが、ご家庭で普通に使うんやったら3号(HRC61位)がベストやないっでしょうか(・ ・?

切れ味も砥ぎやすさも申し分ないですし、砥石との相性もほぼ選ぶ事無く使えます。

2号(HRC62位)や1号(HRC63位)になって来ると切れ味は剃刀みたいで良いんですが、刃欠けのリスクと砥ぎに時間と慣れが必要になって来ますから・・・(^▽^;)


青紙
HRC64~67位ありますが、ここまで来ると切れ味は格段に良いんですが、砥ぎ難さの方が目立って来る様に思います。

1回良い刃を付けると永切れするんで切れ味が落ちにくいんですが、その良い刃を付けるんがひじょ~~にしんどい・・・(-_-;)

自分もどんな物か試しに使ってみたくて買ったんですが、滑らかに良く永く切れるんですけど砥ぐのに結構時間がかかってしまいます。

砥石も少し選ばないとなかなか思う様に砥げない・・・(^_^;)


上げた他にもステン素材でイノックス鋼って言われるAUSの6と8はHRC56~58モリブデン鋼(俗称らしい)はHRC56~58位、V金10等のV金はHRC60以上

粉末ハイス鋼と言われる、ZDP-189HRC67位、HAP72HRC70以上となってます。

HRC60未満の物はそれなりの切れ味、刃持ちですし、HRC65以上は硬すぎて軟らかい砥石を使うと砥石ばっかり減って砥げてない事が起こるそうで・・・(^_^;)

良くステン両刃の包丁の説明にモリブデン鋼使用やINOX鋼使用って書いて有ったりしますが、ロックウェル硬さだけを見て行くとHRC56~58位ですから、鋼のSK鋼~黄紙に相当する硬さに!

包丁の切れ味は粘りなんかの他要素も関係してきますんで一概には言えませんが、硬さによる切れ味だけを見ると鋼の黄紙以下ってふうに取っても問題無いんやないでしょうか(・ ・?

まぁ日本鋼って表示の全鋼洋包丁がどの鋼使ってるのかは分りませんが、多分白3以上は使えないんやと思います・・・。

白2と同等の丁度良い硬さのステンも有るはずですが、あんまり包丁になってない事を見ると落とした時に折れたりするから良い物が出来ないんやないかな~と思います!

ステン素材の包丁は錆び難いんで色んな場面で活躍できるんですが、切れ味を妥協するか、砥ぎやすさを妥協するかの両極端な素材みたいに感じますね~~( ̄▽ ̄;)

良い感じの両刃が欲しかったら割込みの白紙や青紙位が良いんかな(・ ・?

軟鉄で守られてて欠けには気を使うやろけど、折れたり割れたりはしないでしょうから!

万能包丁でもちょっと良いのは平気で2~3万しますけどね~~(^_^;)


硬い包丁は鋭利な刃が付きやすく切れ味は良いけど、刃欠けに気を使いますし、砥ぎの技術(・ ・?や慣れが要ります。

硬すぎる物は高価なダイヤ砥石でしか砥げないって事も有るそうですし・・・(^▽^;)


どのレベルの切れ味を求めるか!と、刃欠けや砥ぎのリスク!錆びに対する対処を天秤にかけて鋼材選びしないと巷の切れ味評判だけを基準にしたら後々大変な事になるのは間違いないでしょう・・・(^_^;)

包丁は硬ければ良いってもんでもありませんから!!


硬さが売りの粉末ハイス鋼の切れ味に対する評判はかなり良いみたいですが、切れ味だけの評判が多く砥ぎに関してはあんまり無い様な気がします・・・。

永く切れるんで砥ぎも刃先を整える位で済むからなんでしょうが、刃先ばっかり砥いでると段刃になって切れ込みが悪くなり、肉抜きで他の部分を砥ぎに行ったらとんでもない目に合いそうな気が・・・(^▽^;)

砥石との相性なんかも有りますから、良いの買った~~(* ´艸`)って喜んでたら手持ちの砥石でメンテが出来ないって事になる可能性も・・・(-_-;)

ちゃんとメンテ出来る人にはそれこそ一生モノになると思いますけどね(b^ー°)


鋼材の評判だけで決めるのは良い包丁選びになりませんので気を付けて下さい。
  


Posted by まねき  at 01:38Comments(0)包丁

2017年08月08日

砥ぎ減った両刃包丁のメンテナンス!

どんな包丁でも砥ぎ続けると減ってちっちゃくなって来るのは当たり前なんですが、両刃の包丁は和包丁ではあんまりしない砥ぎをすると格段に切れ味が上がります。

切れ味が上がるちゅうか、切れ込みが良くなる!

食材にスッっと包丁が入る様になるって言った方が良いでしょうか(・ ・?

和包丁はベタ研ぎを続けて行くと平の幅がだんだん狭くなって来ますが、絵みたく切刃の幅はあんまり変わりませんし、刃先の角度もさほど変化しません。
(お持ちの包丁の切刃幅が変わってるとしたら砥いでる過程で狭く、もしくは広くなる砥ぎ方をしているって事です。)



両刃の場合は基本、クサビ形になってます(家庭用は均一な厚みが多いと思いますが!)んで、刃先を同じ角度で砥ぎ続けると絵みたいな形になって行きます。



こうなって来ると、初めは薄く、切刃の幅も狭かったから切れ込みが良かったのに、切刃の幅も広く、分厚くなって切れ込みの抵抗になります。

和包丁に例えたら刺身包丁と出刃包丁の違いみたいかな(・ ・?

元の状態に戻そうと思うなら包丁全体を砥げば良いんですが、ペロッペロの包丁になるし何よりかなりの労力が要りますんで、機械でもないとまず無理です。

そこで、元の刃先の状態には出来ませんが、下の絵の黒塗りの部分を砥いで削ると切刃が薄くなるんである程度の切れ込みの回復は出来ます。
今ある鎬筋を上げて刃先を鋭利にしてやる訳です。

刃先以外の場所を砥いで形を整えるこの作業は「肉抜き」なんて言いますけど!

ただそのままやと鋭利になった分刃先の強度が無くなってパキパキ欠けますんで、糸引きを左右や片刃風に付けると欠けにくくなります。

毎日使っててあんまり気にならないかも知れませんが、かなり砥いだ包丁にこの砥ぎをするとビックリする位違うと思います。

たかだか2~3mmの厚みしか無い包丁ですが、するとしないじゃ大違いなんです!

鎬筋を付ける時は何処まで肉抜きするか場所を決めてマジックで書いておくと砥ぐ時の目安になると思います!

砥ぎ終わったら残ったマジック跡をクレンザーで磨くなり、マニキュアの除光液なんかの溶剤で落とせば綺麗に取れます。


三枚打ちや割り込みの万能包丁みたいに鎬筋が初めから有る物やとベタ研ぎをすれば自然と肉抜きしてる様なもんですから、さすが和、洋の良い所取り包丁ですね(*^▽^*)

鋭く切れて、切れ込みが良く、砥ぎやすく、使いやすい!難点は刃先に出てる鋼のサビ位でしょうか(・ ・?


和包丁でも短くなると切っ先近くが分厚くなるんで肉抜きはするんですが、画像の枠の中辺り位です。

枠の部分位から切っ先に向けて裏側へ下ってますから、包丁が分厚くなるとそこも高くなって来ます。

砥ぎぬいて低くしてやれば前の感覚で使いやすくなりますが、丘のてっぺんがだんだんアゴの方に移動していきますんで。



ホームセンターで売ってる家庭向けの全鋼ステン両刃は、しのぎ筋から峰まで同じ厚みの真っ平らな物が多いですから、肉抜き作業じたい必要は有りませんので使ってる包丁を確認してみてください!

鎬筋上げて切れ込みを良くしても良いんですが、刃こぼれしやすくなって使い方に制限が出て来ますんで、あくまでも刃先側より峰側が厚くなってる物だけです!
  


Posted by まねき  at 01:17Comments(0)包丁

2017年08月03日

食材対包丁鋼材粒子の粗さの違い。

前回、包丁に使われてる鋼材も違えば・・・って書いてたんですが、そもそも包丁の鋼材や手の掛け方が違うと何が違ってくるのか書いてみます。

毎度毎度マニアックな内容ですが、ご家庭とお店の味が違う理由が少しは分るかな(・ ・?って感じです。


以前、鋼材には青紙、白紙等々、また各鋼材別に1、2、3等の番号が有るって書いております。

番号は鋼材の炭素量の違いで、2を基準にして1は2より炭素が多い=硬さが上がり靭性が下がる、3は2より炭素が少ない=硬さが下がり靭性が上がるを表しています。

炭素鋼の青、白の色の違いなんですが、自分は鋼材の粗さやと思ってます。
(厳密には違うんですが、使った感じでそんなふうに思えるもんで。)


この鋼材の粗さが今回の内容になって来るんですが、粗さって何ぞや(・ ・?って話しでして・・・(^▽^;

詳しく行くと電子顕微鏡レベル位の話しになっていまいちピンと来ないと思いますので、砂、砂利、石ころの差、砥石やサンドペーパーの番手(粒子の大きさ)の違いみたいな物が包丁の鋼にも有ると思って良いと思います。
(粒子が粗い鋼材は石ころの集まり、細かい物は砂の集まりみたいな感じ。)

同じサイズの枠の中に石を詰めた時と砂を詰めた時の隙間のでき方が違うのと同じ感じかな(・ ・?

この隙間のでき方がノコギリの粗い方と細かい方みたいな違いになって切れ味の違いになって来ます。

いつやったか白紙はオラァ~切ったったぞ!!って感じでザクッリ切れて、青紙は切らせて頂きましたm(_ _)mって感じでツゥ~~って切れるって書いてたと思うんですけど、この感じが鋼材粒子の粗さの違いなんやろな~~と!

この感じ方を包丁の鋼材で粗い方から並べるとSK鋼、黄紙、白紙、青紙ってなるそうでして、SK鋼をいくら目の細かい砥石で砥いでも鋼材の粗さは消えないそうです!

包丁を砥ぐ時に荒砥で砥ぐと傷まみれ、仕上げで砥ぐとピカピカに成るのと同様に鋼材の粗い細かいが食材対包丁でも起きてまして、SK鋼と青紙の包丁を同じ仕上げ砥石で砥いでも食材の切り口の粗さが変わって来る訳です。

ピーマンの切り口画像の刺身用で切ったのと藤次郎を#8000で砥いだのの差がそんな感じになるかと!

上記差が食べて分るかって言えば余程敏感や無いと分らないかと思います!

自分が食べた時はどの包丁できったか知ってたから解ったでしょうが、知らなかったら多分一緒やったんやろうと思います・・・(^▽^;)

安い包丁でも人造砥石#8000で砥げば何とかなるけど、鋼材が軟らかい分永切れしないんで維持しようと思うとしょちゅう砥ぐ事に・・・(^_^;)。


手の掛け方の違いですが、包丁は鍛錬すればするほど粒子が砕けて細かくなって締まって行くそうで、同じ鋼材でも鍛錬した物として無い物でも違いが出て来るらしいです。

石を砕いて砂利にする作業が鍛錬と言っても良いと思います。

同じ白紙3号の包丁でも、プレスで打ち抜いて刃を付けた物と手を掛けた手打ちの物では、値段も違うけど切れ味、切った食材の味も違ってくるって事になるんでしょうね~。

せやから手打ちの包丁は同じ鋼材でも良く切れる!
(中露半端な手打ちは質の悪い物になるそうですが・・・(^_^;))

SK鋼の包丁でもしっかり叩いて締めると良い物になる様ですが、販売価格を考えるとあまり手を掛ける事が出来ないみたいです。


綺麗な切り口からは味の無駄な流出が少ないんで、食べた時に美味しく感じる!

荒れた切り口からは旨味も逃げれば雑味も出て来て食べた時に雑味ばっかり感じるみたいです!


お店では高価な包丁使ってたり、安価な物でも頻繁に砥いでるはず!

ご家庭ではよく砥いでも週1回(・ ・?何年も砥いで無いって事も有ったり・・・(^_^;)

包丁は砥いで無くても切れれば料理が出来る訳ですが、美味しい料理になるかと言うと・・・(^▽^;)

安価な包丁でも砥ぐって行為は美味しい料理を作る為には欠かせません!

火を入れる料理の場合はこの限りや無いですが、生で食べる食材が多い日本では切れる事にこした事はないように思います。


炭素鋼だけではなくステンレス鋼でも同じことが有るそうで、高価な鋼材になる程粒子も細かくなって切り口が綺麗になるそうです!

ステンレス鋼では粒子の細かさはほぼ産地で決まるそうで、海外産の鋼材が良いって話しを聞いた事が有ります。

ステンの良い包丁を買おうと思ったら、どこ産の鋼材で作られたか聞いてみるのも良いかも知れません!


高価な良い包丁程切り口が綺麗に切れ、切れ味も持続する!安価な物はすぐ切れなくなって、切り口も崩れやすいって感じですね~(^_^;)

やっぱり値段相応って事になって来るんかな~~(~_~;)
  


Posted by まねき  at 01:45Comments(0)包丁