2016年09月20日

包丁の材料

今回は包丁の材料です。

先に書いときます!
長いです、マニアックです、包丁専門店で買う時は役に立つと思いますが、ホームセンターでの購入時には役に立ちません・・・(^_^;)

いずれは良い物が欲しいと思ってる方には少し参考になると思いますが・・・(^▽^;)


鍛造包丁の材料は、本体の刃の部分になる炭素鋼銀鋼(ステンレスの鋼材)と支えになる軟鉄、の木の部分、口輪が有ります。

 
炭素銀鋼ですが、いろいろ別れてまして、炭素鋼青紙鋼白紙鋼銀鋼は銀紙3、V10、スウェーデンINOX、国産INOXなどが有ります。
(まだ有るんですが、主に包丁に使われてる鋼材の名称だけにしときます。)

炭素鋼を使った包丁は、白紙鋼が基準らしく、白紙鋼にクロムとタングステンを加えて切れ味を上げ、対摩耗性を向上させたのが青紙鋼になります。

炭素鋼にもランクが有りまして、A、1B、2A、2BA、1B、2A、2B、3とこれまたいろいろ有ります。

呼び方は青紙鋼(あおがみこう)、青紙(あおがみ)、青鋼(あおこう、あおはがね)白紙鋼(しろがみこう)、白紙(しろがみ)、白鋼(しろこう、しろはがね)に各号数が付きます。

あんまり細かく分けると「どれがええんや(`皿´乄)」って怒られそうなんで、どちらも2号Bが基準と思ってください・・・(^_^;)

詳しく知りたい方は、堺の包丁屋 堺屋HPの包丁鋼材の説明って所をご覧いただくとチャートで説明したページが出て来ます。

ちなみに白紙青紙のいわれですが、製鉄工場で区別するために鋼材に張り付けた目印の色紙がやったからって話です。


白鋼は、純粋な鋼材の玉鋼(日本刀の材料)に最も近い素材らしく、不純物が少ない鋼になります。

切れ味の良い順にA、1B、2A、2B、3号となりますが、使うのに気を使う(刃が欠けやすい等)順もA、1B、2A、2B、3号になります。

1号Aは非常に硬く数字が大きくなるにつれ柔らかくなりますんで、砥ぐのも1号より3号の方が砥ぎやすくなります。

荒い使い方をする包丁は柔らかい鋼材の砥ぎやすい方が良いかもしれませんね。


青鋼は上にも書きましたが、白鋼にタングステンなどを加えた鋼で合金になるそうです。

青鋼は主に鉋や鑿の素材として使われていて包丁にはあんまり向かない鋼材らしいです。

鉋や鑿は刃に対して垂直に使いますが、包丁は水平に使いますよね!青鋼は水平に使うと滑るそうですが(切れない包丁でトマトを切る様な感じ)青鋼2号は包丁に出来るギリギリの鋼材の様です。

価格も白鋼の1.5倍位になり高級なランクになります。

ちなみに白鋼はズバッ!と切れて、青鋼はスパッ!っと切れます。分りますでしょうか(^_^;)
白鋼がオラァ~切ったぞ~~!って感じで、青鋼は切らせて頂きましたm(_ _)mって感じ・・・もっと分らんかな・・・(^▽^;)

炭素鋼は切れ味が鋭いですが、使った後の手入れを怠るとあっちゅうまに錆びますのでご注意を!


銀鋼(ステンレス)はご存知の通り錆に強い鋼材です。

炭素鋼に比べると銀鋼は鋼材自体の硬度が高く、製造過程で炭素鋼と同じ作り方をすると人の手では全く砥げない包丁になるため硬度を落とす作り方をするそうですが、それが原因で砥ぎ方を間違えると直ぐに切れなくなる包丁になり下がってしまい、こいつ使えん(-”-メ)ってなります。

銀鋼の砥ぎについてはまた後日に書く予定です。


炭素鋼銀鋼にはどちらも利器材と言って、製鉄工場出荷時から鋼と軟鉄が付けられた物が有ります。

ホームセンターなんかで売っている表の刃境が直線な物がそれで、極端な話、板を打ち抜いて刃を付けただけの物になります。

対して刃境が波打っている物は鍛冶屋さんが鋼と軟鉄を鍛接して鍛え上げた物になります。(全部そうかと言われると答えられませんけど・・・)

銀鋼は鍛接するのが難しいらしくほぼ利器材で作るそうですが、ちゃんと鍛錬した物は利器材でも鍛接した包丁のような波線が刃境に出ます。


続いてですが、は本体ほどややこしくありません(^▽^;)

以前、包丁の価格の違いで少し書きましたが、もうちょっと詳しく。

木の部分は朴の木、一位(櫟の木)、黒檀など、口輪はプラスチック、水牛などいろいろ有ります。


プラスチックP柄)は朴の木の安い部分にプラスチックの口輪で出来ていて、ホームセンターに売ってる包丁や白3鋼等の比較的安い包丁に使われています。
数百円でホームセンターなどで手に入りますが、長く使ってるとが割れてきたり、口輪がずれたりと値段相応と言う所です。

水牛は朴の木の上質な部分に水牛の角の口輪角巻つのまきとも言います。)で出来ていて、1万位する包丁には付いていると思います。
ちゃんと手入れしていればよほどの事が無い限り割れる事は無いと思います。
価格も3千円前後ですが、専門店などでの取り扱い位しか無いようです。

P水牛とも木の部分は朴の木ですが、朴の木は軽くて水に強く、濡れた手で持っても滑りにくい特徴が有り、また比較的柔らかいので握り心地が良く手に馴染んで来ますんで多くの包丁に使われているみたいです。

一位には水牛の角巻が付いていて、一位水牛とも言います。
朴の木より硬く水に強いです。
見た目が茶色で、包丁が締まって見えるんでかっこいいんですが、自分は硬すぎかな~と思います。

黒檀ですが、木のの材料の中で1番硬い物になるようで、削ったりしない限り形が変わる事は無いそうです。

以前も書きましたが、黒檀に銀巻きの口輪を付けたり、細工をした物も有る様で良い包丁が買える位します。

黒檀は使った事が無いし、使いたいとも思いませんでしたんで、内容は包丁屋さんの受け売りです。


柄の形ですが、柄尻から見た形で区別します。

丸い小判型、小判型に鎬(角)が付いた栗型、八角形の八角型、八角型の指に当たる部分の角2つを削って丸くした六角丸型が有ります。

小判型は出刃包丁に良く付いてますが、使ってる最中に刃を上に向けたりしやすい形だそうです。

小判型とは逆で、包丁をしっかり動かない様に握る柳刃には栗型が付いてると思います。

八角型は高級品の出刃、柳刃どっちにも付いてて、小判型、栗型の良い所取りな形です。
(朴ノ木八角柄は使い良いと自分は思ってます。)

六角丸型は八角型の角が指に当たって痛いって事から削った物らしいです。


鋼材の事をあれこれ書きましたが、同じ材料でも作り手の違いや手の掛け方、研ぎ方で全く別物の包丁になります!
(厳密にいえば1本1本違うんですが・・・)

良い物を作りたいと思ってる鍛冶屋さん、砥師さんが手がけた物はズバッと長く切れて砥ぎやすいですが、量産主体で作られた物はズバッと切れても永切れしない(良い物と比べたらの話しですが)らしいです。

以前書いた企業の製品が良くなった!みたいな感じでしょうか(・ ・?

職人さんは手の抜き所(手を掛けた方が良いけど、無くても大丈夫な所)も知ってて値切られると手を抜く=値段相応の物を作る!らしいんで、金に糸目を付けなかったらとてつもない物を作るって話です(^▽^;)


堺の刃物問屋はお客のニーズに合わせて一から製作もしますが、包丁本体は良い物、柄は安い物で買いやすくって感じのセミカスタムもしてくれます。

標準仕様が黒檀鞘、黒檀柄、霧箱入りで10万って包丁でも朴の木鞘、朴の木八角水牛柄、紙箱の実戦仕様にすると5万でOK!や、本体は安くても柄は使いやすい八角が良いって言ったらしてくれますんで、今使ってる包丁の不満を言えば自分仕様の使いやすい物が手に入ります!


  


Posted by まねき  at 22:02Comments(0)包丁