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2017年02月16日

銀鋼(ステンレス)の砥ぎ!

前回、鋼とステンレスは同じ研ぎ方をするとダメですよ~的な事を書きましたが、同じ研ぎ方で終わったらダメ!って言った方が良いかも知れませんね。

何で同じ研ぎ方やとダメなのか、具体的にどお砥いだら良いか今回書いてみます!


炭素鋼に比べると錆を気にしなくて良いんで、ご家庭で使うにはもってこいのステンレスの包丁なんですが、前回書いた様に炭素鋼と比べると粘りが強い傾向に有ります。

炭素鋼は刃先にパリッとした硬さが有るんですが、ステンレスはバネみたいにちょっとグニュッ!っとします。

グニュッってのは永切れさせるためにある程度必要なんですが、必要以上にグニュッっとなるのがステンレスで、それが曲者なんです。


包丁は砥ぐと刃先がどんどん薄くなって鋭くなって行きます。

鋭くなって要らない所が返りになって金属疲労で千切れたギリギリのラインが包丁の刃先になるんですが、粘りが有ると薄くはなってもグニュッってなって厚みが有る所ばっかりが砥げて返りが千切れにくいのがステンレスです。

例えると金属板は何回か折り曲げてると千切れると思うんですけど、薄いホイルは折り曲げても千切れん!って感じかな(・ ・?

炭素鋼の包丁は刃先の返りが薄くなると金属疲労でパラパラ取れるんですけど、銀鋼の返りは酷いとアルミホイルみたいになったまま刃先に残ります。

刃先になるであろう部分から鋼材のペラペラしたのがいつまでも取れずに残ってる状態です。

この残ったペラペラの返りを取るための作業が炭素鋼の包丁より手間がかかります。


表の砥ぎを炭素鋼同様にして、終わったら仕上げの裏砥ぎをして刃先の返りを取りに行きますが、裏を砥いでも取れない返りを取るために最後の最後に砥石の上で包丁を手前に引きながら左右に動かすと残った返りが引き千切られるみたいに取れてくれます。
(取れない時は表から砥ぎ直しになるんですが・・・(^▽^;))

炭素鋼の中でも粘りの強いとされる青鋼なんかはこの作業で返りが取れてパリッとした硬く鋭い刃になるんですが、ステンレスは返りが綺麗に取れても炭素鋼みたくパリッっとした刃先にはならず、やっぱりグニュッとした軟らかい刃先になって下の画像みたく使ってるとすぐに刃先が曲がって切れなくなります。

銀鋼(ステンレス)の砥ぎ!
(枠の中の光ってる刃先が倒れて返りみたいになった所。)

この曲がり対策で、炭素鋼でもする糸引き刃をステンレスにも付けてやると曲がりに強いい刃になります。

炭素鋼では欠け対策で糸引き刃を付けますが、ステンレスでは曲がり対策で糸引き刃を付けてやる訳です。

どっちも刃先の強度UPが目的ですからやり方は以前書いたのと一緒です。

使ってるうちに刃先が倒れて切れんストレス感じる位やったら、倒れるであろう刃先を初めから倒して綺麗に処理する方がストレス無く使えるって感じです。

あんまり強くしたら炭素鋼同様に切れ込みの抵抗になるんでほどほどにしとかないといけないんですけどね(^▽^;)


ステンレス両刃も素材は片刃銀鋼と似た物ですから返りが取れにくく、いつまで経ってもあっち向きこっち向きします。

両刃は左右から角度を付けて砥ぎますから尚更みたいですね・・・(^_^;)

そんな時にはメラミンスポンジで峰側から刃先方向に軽く撫でると返りが取れると問屋さんが言ってました!

自分はステンレス両刃持って無くて実際にしてませんので受け売りなんですが、綺麗に取れるみたいです。

ただ中砥#1000で出る返りは取りにくいとの事でした。

それと、面倒くさいからと刃と平行に動かすとせっかく鋭くした刃先が丸くなるらしいです!

メラミンスポンジには研磨剤も入ってるそうなんで、あくまでも刃と直角に峰側から刃先に向けて!だそうです。

全部のステンレス素材で有効かと言うのも定かではない様なんで、やったけど取れんやんけ(-_-メ)ってのはご勘弁をm(_ _)m

実際自分で試してませんので・・・(^_^;)

後、刃先を鋭角に砥ぐと返りは取れにくくなりますんで、出来るだけ鈍角に砥いだ方が良いのかも知れません。

鋭角に砥いで片方だけ糸引きも良いかな(・ ・?

鈍角に砥ぐと刃先が倒れる事も少なくなりますから、100均包丁なんかは鈍角&メラミンスポンジで返り取が良いかも!

まぁ刃先の角度は人それぞれ好みが有りますから、良い角度を探して下さい。

優しく使う人は鋭角でも刃先の痛みは少ないですが、まな板をバンバン叩くような切り方をする人は鈍角に砥いだ方が傷みにくいですから!


昔は両刃の家庭向け包丁がほとんどで、切れる事最優先の片刃や業務用の洋包丁にはまず無かったステンレス素材ですけど、ここ数年で片刃でも結構出回ってます。

砥げない!切れない!!って昔は言いましたが、だいぶ改善されて来ています。

炭素鋼に比べると切れ味はやっぱり劣りますが・・・(^_^;)

切れ味は劣りますが、錆び難いメリットが切れる事より大きい割合を占める場所やとかなり重宝します。

炭素鋼はちょっと気を抜くとあっちゅう間に錆が出て来ますし脂分や灰汁で変色しますけど、ステンレスは少々放置した位では錆びませんし変色も起こりにくいです。

錆び難いと書いてるのは、レモンなんかの酸性がキツイ食材を切って拭かずに置いておくと黒く深く錆びます。

錆びるって言うより、穴が空くって表現が合ってるかも・・・(^▽^;)黒くボッコリと凹んでたりしてませんか(・ ・?

やらかした事が有る人は少なくないと思いますけど・・・(^_^;)

良い所全部持ち合わせた包丁が有ると良いんですけど、こっちを立てればあっちが立たず、あちを立てればこちが立たずは刃物の世界でも多々有りまして・・・(^_^;)

どこを優先してどこを妥協するか・・・

お金を積めば高次元で良い所が集まった物も有るんですが、べらぼうな金額になるみたいですし・・・(^▽^;)

世の中うまく行きませんね~(^-^;
 


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Posted by まねき  at 19:14 │Comments(0)包丁

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